ベリアルサービス創業初期時は2スト全盛の時代でした。
ベース車両は主にヤマハ車両で、エンジンのチューニングを行い様々なレースを20年以上に渡り出場、常にマフラーの先行開発をしてきました。毎年開催のマルチ杯全国大会では、クラス最多優勝回数も達成しました。
その状況も2000年頃から排気ガス規制が始まり変化していきます。
各バイクメーカーも試行錯誤しますが、新車販売する2ストエンジンの車両が排ガス規制強化等により販売終了、4ストエンジン搭載車両のみとなっていきます。と同時に新車販売が終了した2スト車両でのレースも徐々に減少傾向に。
レースで使用するベース車両を新車販売している4スト50cc車両に代替し、新たなカテゴリーが新設されたとしてもレースに参加する人達にも魅力が半減し、レースが衰退していく可能性も考えた末、サーキット走行が可能で誰でも新車購入出来る条件の車両を考察する事となりました。
2スト50cc車両と比べてのパワーバランスを考えた末、4スト125ccの可能性を模索し、シグナスX125がベース車両に使用可能と判断、レース車両をJOGZR(2スト)からシグナスX125(4スト)に移行する働きかけをレース主催者へ提案し、サーキットでデモ走行する等、新しいカテゴリーを提案しました。この働きかけ等により、現在のレースの形が完成。過去のスクーターレースからのエンジン&駆動系のフィードバックを基にヤマハの初期型シグナスX125〜3型シグナスX125まで、ストリートチューニングからレース用マフラーのサポートや、フル改造クラスの参戦等を手掛けてきました。
が、ふと振り返ってみると、ホンダ車でのチューニング車両はライブDIO-ZXぐらい。これはホンダ車で4スト125cc系のチューニングを何か手掛けてみようと思い立ち、リサーチを始めることにしたのです。するとPCX125/150でボアアップKITを組み込み排気量UPした多数のユーザーが、漏水によるエンジントラブルに遭っている状況に遭遇。
※(水冷スクーターの漏水はエンジンに多大なるダメージが発生するだけでなく車両からエンジン本体の分離作業をしなければエンジンの分解作業が構造上不可能で作業過程を最初からやり直さなくてはならず、超ネガティブな要因になってしまいます)
これは自分に何かできることはないか、今までのレースなどの経験で良い製品の製造ができないかと考え、PCX系エンジンの開発をやってみようと決意に至ります。
次回は商品開発過程を公開予定
製品開発にあたり先ずはPCX系エンジンの特性を熟慮した上で、エンジンに最適なチューニングの方向性を約2年間トライ&エラーを繰り返しながら模索し、トルク型エンジンという方向性に決定。そして新たなスクーターの楽しみ方やライフワークを構築出来ると確信し、PCX系エンジンにこだわったSPLボアアップSETとそれに付随したパーツを製作しました。
ホンダ車両(PCX系エンジン)での改造を手掛けるについて目標にしたことはスクーターライフをエンジョイする為に、エンジンメンテナンスモードの簡略化とロングストロークエンジンの特性を最大限に活用し、無理に高回転型にせずに中高速域のトルク特性に特化したエンジン、つまり高出力ビッグスクーターのトルクフィーリングを実現するという事です。
そして完成したSPLボアアップKITはシリンダーヘッドにポート加工を施し、バルブとスプリングSETは組み込み済の為、バルブスプリングコンプレッサー等の特殊工具を使用せず通常工具にて組み立てることが可能としました。
※ノーマルカムをSPLヘッドの方に組み換え作業をするだけです。
操縦性と高出力化の融合を目指しながらも、クランクや動弁系の耐久性等を考慮したコストパフォーマンス仕様になっています。
PCX170/175KITパーツは、170cc以上の排気量&高圧縮でのガスケット長期漏水テストも実施し、確認済みですので、安全にボアアップKITの装着をして頂けます。
実走テストでは、スタートや加速のトルク感ともに文句なしのパフォーマンスを発揮しアクセル操作にリニアに反応するフィーリングで操縦性も抜群です。
「PCXが異次元の走り」になるSPLボアアップKITの実力を多くのPCXユーザーに味わって頂きたいという思いと同時に、EV車両が現実味を帯びていく中であえて内燃機関の可能性を模索し考案したコアなこの製品で、ガソリンエンジンの鼓動感を体感して欲しいと思っています。
次回は、ショップ様に試乗して頂いた感想などのレポートや、商品画像等、色々載せていこうと思っています。お楽しみに!
商品開発にあたり、現在市場で車両が豊富で手に入りやすいJF56/KF18のPCXを選択。
ホンダ系スクーターPCX(JF56)125/(KF18)150の車両で総力テスト&セッティングを行った膨大なデータの中から「独自のチューニング」を目指し、ジェントルでパワフルな仕様にしぼりデザイン。ノーマルカムシャフトでの開発を念頭に置き、耐久性と静粛性を高次元で融合した特性を追及、豊かなトルク特性を獲得しながらも高速域のオーバーレブ特性も兼ね備えた仕様の製品が完成しました。
ノーマルカムシャフトを使用することによりデコンプを活用できる為(始動性向上)と低回転時からの圧倒的なトルク特性と同時にエンジンの始動性やガソリン消費率等の改善にも貢献します。
現在、販売にむけて準備をすすめているところですが、販売に先駆けて、
デモ車両にてショップ様等で実際に試乗して頂き、様々な意見や感想を頂きました。
(デモ車両の仕様:ノーマルのPCX150(KF18)にヘッド付きボアアップKIT、専用ネクサスR.R.Sマフラー、29mmビッグスロットルボディー&専用マニホールドSET、パワートレインKIT(駆動系)を組み込み)
ボアアップ車両は排気量が増えるので、当然吸気する空気量も増えます。 排気量に見合ったインジェクターやサブコン等に変更しなければA/F(空燃比)が薄くなります。 限度を超えると燃焼温度が上がりすぎて、最悪はエンジンブローという悲しい結末が訪れます。 現在装着しているインジェクターが高回転時にエンジンが要求しているガソリン量を充分に 噴射しているか否か、という問題点も発生します。 (中高回転域に影響)
「エンジンブロー」を避けるには、良好な状態の燃料を噴射するインジェクターに交換することが 大原則です。(パワーを重視しながら、良好なセットアップが可能になります) その為に足りない燃料を補うため、インジェクターの容量を大きくする対策をする訳ですが、 大半は経験値に基づくデータベースで、インジェクターを選別します。
排気量UPしたエンジンが要求する最適な燃料を、インジェクターが噴射出来れば ノーマルとは比べ物にならないほど低中速トルク、高回転域のパワーが格段に増大します。
インジェクターの電磁バルブは、信号を受けて実際に噴射するまでわずかながらズレがあります。この現象(ズレ)を「無効噴射時間」と言います。 インジェクターから燃料が噴射される時は、連続的な信号のON/OFFが繰り返されて この無効噴射時間に入る状態になり、信号の作動間隔が狭まります。 容量の足りないインジェクターは噴射量が常に上限に近い状態で長時間継続していますので 無効噴射時間も多くなり、インジェクターの耐久性にも影響(故障)があります。 インジェクターの電磁弁が余裕ある動作が出来るくらい単位時間当たりの噴射量の大きな 大容量インジェクターが適切であり、セッティングの追従性や耐久性もUPします。 ※大容量インジェクターの交換は、適合するものを入手できれば簡単に交換できますが、 サブコン等で燃調のセッティングが必要になります。
ベリアルサービスにて販売中の、PCX用(JF56)125/170kit ・(KF18) 150/175kit用ボアアップ 専用の大容量インジェクターは、ベリアル製ボアアップKITとインジェクターの同時購入の特典で サブコン(エニグマ)の基本燃調マップを付属しております。 (同時購入に限る) 付属の基本燃調マップを基準に、セットアップ作業が比較的簡単にできます。
【警告】
※インジェクター交換など「整備士資格者」に交換作業を依頼し行って下さい。 文面を参考にしながら 各自、自己責任でセットアップをおこなってください。
PCX系のエンジンは、クランク中心軸とシリンダー中心軸に差を設けるオフセットクランクが採用されています。
ピストンとシリンダーの摩擦ロスを低減し、燃焼で生み出されるパワーを効率よく伝達できるという利点と高回転時(9500rpm以上)に摺動抵抗が増大し振動が多くなるというデメリットがあります。
ベリアル製PCX170/175ボアアップKITはそのオフセットクランクの利点である低・中速度域での動力性能の特性を最大限に活用し、ビッグトルクに特化したエンジンに仕上げました。
エンジン特性を敢えて高回転型にせず、低中速にトルクを集中させてパワーを稼ぐチューニングに徹底することで、豊かなトルク特性と振動の少ないエンジン特性を得ることができました。アクセル操作も出力がリニアに反応し速くて扱いやすくなり、トルクバンドが大幅にUPすることでウエイトローラーやセンターSP、クラッチSP等のセッティング作業が比較的簡単になるメリットもあります。
エンジン回転を抑える事で、パーツ等のランニングコストや燃費UPにも貢献します。
高圧縮対応の鍛造ピストンや高圧ガスケットを採用し漏水や排気抜け対策もしています。
※参考計測データ
ボアアップ175kit+ビッグスロットルボディー(28.5mm)+ビッグインジェクター+エアクリ加工+ボアアップ専用駆動系kit+ネクサスRRSマフラー+エニグマ等
ベストセッティング時、デモ車両で記録したデータ
(0〜60km/h 2.8秒)
(0〜80km/h 4.9秒)
(0〜100km/h 7.8秒)
100km/h 巡航回転数 6780rpm
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